云外人间自悠游

濃霧に灯篭を翳して

僕という成分

銃を帯びることなく丸腰で居続けるのは、
煙草をやめて口寂しいような感覚に似ている…
(吸ったことはなく


腰にぶら下がってた重みに、
どれほど頼ってきたことだろう。


得意としてる殺しは超近距離と遠距離に特化してて
程々の感覚を知らないんだ。

中距離にいる場合は敵のマッピングをするときだけ。
ぐっと懐に潜り込みたい、殺しの衝動を抑えるのに
表面上は冷静でいなければならない。
集中しているから、その時のがまんに不安はない。

そうやって潜在意識の構造・反応まで
丹念に調べあげるほど、僕は人間に興味はない。
銃口はいつも自分に向いているからね。…
(例外あったなんて言わない


ひとりで鬱々としてる時、
僕の周りから自分を責める声が聞こえる。
>鏡の中残響に立ち向かったときの
>震えるような恐怖
>私には大きすぎる


あれを聞かないでいられたらどんなに良いか。
不安に掻き立てられると、僕は自らを貶めていく
そうすることで安心したいんだね。

反響音の中自分を見失うと、あとはもう狂うしかない。
他人を鑑みてる余裕なんてない。…
自棄になった僕に、音を与えると恐慌に変わる。
…ぶつかり合うと喧嘩になる。…体の動くまま…



また手に取りたい。…
震えが上がってくる…


僕は僕を殺した。
咽び泣く声は消えない…
イライラするから黙らせたくなるんだ。
何度も、何度も、

迫り上がりそうになる声を押し殺して、
誰にも聞かれないように。
泣くなんてとんでもない。声を漏らしてはいけない…

黙れ。黙れ。
心がつめたいのはそのせいだ。
冷えきったままでいると流れださない雨

一方では、泣きたいと悲願して。
一方では、泣くなと諦めを促している。

血に濡れても涙さえ流さないなんて狂ってる。
シラフで殺す僕は、平然としている。
殺すことを“勝ち”と、し続けてきたおかげで


佇んでる僕は一体何なの。



息してるだけの時間、
一体どんな心境でいたらいい。…


暇だから、自分を罵ってやろうか。
そしたらまた逆戻りだ。…